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KIT ステガノグラフィ 研究グループ (KIT-STEGROUP)


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ステガノグラフィとは ?

現代のステガノグラフィとは、秘密の情報が人目に触れないように、これを何か別の目立たないデータ(vessel, carrier, cover, dummy 等と呼ばれる「入れ物データ」のことです)の中に、こっそりと埋込む情報技術のことです。具体的には、画像データや音声データなどに秘密情報を埋め込んで隠すことです。画像データとしては、赤、 緑、青 の色成分を持つ複数ビットの画像を使うことが普通です。一度埋め込まれた情報を取り出すには、専用のプログラムと秘密鍵が必要となります。なお、ここで言うステガノグラフィとは、いわゆる「ファイルの偽装(File Deception 或いは File Camouflage)」技術によるものではありません。別のページに一般的なステガノグラフィの概念を示していますので参照ください。 ファイル偽装との違いについても説明しています。

BPCS-Steganographyとは?

BPCS-ステガノグラフィ(Bit-Plane Complexity Segmentation Steganography, BPCS-Steganography ) とは、1997年に 河口英二 と Richard O. Eason によって考案された新たなステガノグラフィ技術のことです。この技術では、通常はフルカラーと呼ばれる24ビットの画像を入れ物として利用しますが、8ビットのインデックスカラー画像を利用することもあります。 実際の埋め込みは、画像の それぞれのビットプレーン上の一部のデータを秘密データと置換える処理です。BPCSステガノグラフィの最大の特徴は、埋め込み容量が極めて大きいことです。BPCS-Steganography の原理については別のページに説明しています。

本ページ開設の目的は、インターネットにおけるセキュリティ問題に関心を持っておられる方々に対して、私たちが考案した BPCSステガノグラフィについて解説し、少しでも多くの方々にステガノグラフィに興味を持っていただくためです。

このページをご覧になって、「ステガノグラフィとは面白そうだ」と思われた方には、私たち (KIT-STEGROUP) が開発した実験プログラム(Qtech Hide & View)を試用していただくことが可能です。詳しくは別のページ(Qtech Hide & View ページ)に記載しておりますのでそちらをご覧下さい。 「ステガノグラフィプログラムは初めてだと」おっしゃる方には、是非一度、このプログラムを実際に動かしてみていただきたいと思います。恐らく、「まさか、こんなことが出来る とは、、、」と びっくりされるかも知れません。このプログラムがどんなものかを知りたい方は、とりあえず、この Video をご覧下さい。

「使いやすいステガノグラフィ・プログラム」は、Web 上でなかなか見当たりません。特に、日本の国内サイトにはまったく無さそうです。このような状況で、(やや制限をつけてはいますが)私たちは、自ら作成した実験プログラム を公開しています。

このプログラムは直接ダウンロードページから入手できます。 また、ステゴ画像(既に情報を埋込済みの画像)の例を載せたページも用意していますので参照下さい。 このプログラムに関連して何かメッセージを送付して頂く場合はメッセージ送信専用ページを準備しています。

私達の主張

「暗号技術 (Cryptography)」とは、秘密の通信文をスクランブルして(鍵を使ってデータを攪乱して)その意味内容を第3者に分からないようにするものであり、インターネットではよく使われる情報技術です。通信文を暗号化することによって秘密情報の内容は保護されますが、「ここに秘密情報が存在する」ということを隠すことは出来ません。従って、悪意を持つ者にとっては、攻撃の的が絞り易くなり、暗号化すれば万全という訳にはいきません。

「 電子透かし(Watermarking)」とは、デジタルデータの著作権や所有権を保護するために、そのデジタルデータの中に、ある「証拠データ」を隠し込んでおく(埋込んでおく)技術のことです。この場合、埋め込まれた証拠データ(一般には少量データ)の頑健さ(robustness)が最重要です。すなわち、誰かが証拠データを除去しようとしても、なかなか除去出来ないことが 要件です。電子透かしにおける「重要情報」とは、外部に見える(或いは聴取できる)情報であり、埋込まれた証拠データに大きな価値はありません。

一方、「ステガノグラフィ技術 (Steganography)」とは、秘密情報を人目(或いは耳)に見えなく(聴えなく)するために、秘密情報とは別のデジタルデータ(入れ物データ)の中に埋込む技術です。私たちはそのような入れ物データのことを「外部層の情報」と呼び、埋込まれた秘密データを「内部層の情報」と呼ぶことがあります。 ステガノグラフィでは電子透かしの場合とは逆に、外部層情報にはあまり価値が無く、内部層情報に価値があります。実は、価値ある内部層情報は、頑健であるよりはむしろ「壊れやすい」方がかえって安全 だと言えます。何故なら、壊れた内部情報は取り出せなくなるからです。ステガノグラフィの最大の技術要件は、「埋込み容量」が大きいことです。

私達は、ステガノグラフィと電子透かしは何れも「情報秘匿技術」ではありますが、その目的や技術要件は正反対の情報セキュリティ技術であると主張しています。

ステガノグラフィに関連する話題には steganalysis(ステガナリシス)と呼ばれる分野もあります。これは ステガノグラフィによって秘密が埋め込まれたファイルを検出することを目的とする技術のことです。これはあたかも怪しい荷物を嗅ぎ分ける警察犬のような役割を果たす技術だと言えます。 しかし、この技術はステガノグラフィに対する攻撃技術であり、埋込技術とは敵対関係にありますし、実際に有効なステガナリシスプログラムを作成するのは容易なことではありません。特に埋込方法が不明なステガノグラフィに対しては 殆ど手の打ちようがありません。さらに、何か特別な埋込みをしているようなステガノグラフィを見抜くのも事実上不可能です。

別のページには Qtech Hide & View に関する特別な埋込処理の例を示しています。このページは、BPCS-Steganography の埋込み方法を充分にご理解していただいた後でご覧下さい。

ステガノグラフィの応用に関して も別のページに示しています。


参  考

BPCS-Steganography 技術は米国特許になっています(US Patent No. 6,473,516)。この特許のライセンスに関するご質問は下記の者のいずれかに文書でお問い合わせ下さい。なお、急ぎのご連絡はこちらからも可能です。

Richard O. Eason 河口英二
595 Forest Ave Orono, ME 811-3425 福岡県宗像市日の里 8-21-2
04473-3008 USA  

 

(最終更新日: 2015,01,05  河口英二)